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ブックイベントに行ってみた!

ブックイベントに行ってみた!「『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)重版記念〈僕らの本の仕入れ方~ゆるトーク選書ん(セッション)~〉」 落合博さん(Readin'Writin' TAWARAMACHI BOOK STORE店主)×竹田信弥さん(双子のライオン堂店主)

 こんにちは。本が好き!レビュアーのタカラ~ムこと佐野隆広です。
「ブックイベントに行ってみた!」第2回は、12月18日に八木書店店売所で開催された「『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)重版記念〈僕らの本の仕入れ方~ゆるトーク選書ん(セッション)~〉」です。田原町にある「Readin'Writin' TAWARAMACHI BOOK STORE」の店主・落合博さんと、赤坂にある「双子のライオン堂」の店主・竹田信弥さんが、自分たちの本の仕入れをテーマにトークするという内容です。事前に撮影してあった選書の様子をビデオでみながら、おふたりがコメントを入れる形で進められました。

〈イベント概要〉
『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)重版記念〈僕らの本の仕入れ方~ゆるトーク選書ん(セッション)~〉
日時 2019年12月18日(水) 19:00~20:45
会場 八木書店店売所
登壇者 落合博さん(Readin'Writin' TAWARAMACHI BOOK STORE店主)、竹田信弥さん(双子のライオン堂店主)
https://peatix.com/event/1387261

「買い切り」で勝負する本屋

左:双子のライオン堂竹田さん、右:Readin’Writin’落合さん

会場は、出版社と本屋をつなぐ取次の八木書店さんの店売所です。取次会社のお客さんは本屋なので、私たちが店売所で本を買うことはできません。普段は入ることのない取次会社が会場ということもあり、たくさんのお客さんが参加していました。

イベントは、落合さんと竹田さんがそれぞれどのように本を仕入れているかという話題から始まりました。おふたりともお店で販売する本は『買い切り』で仕入れられているそうです。本の仕入れ方には、『委託』と『買い切り』という方法があり、『委託』は本を預かって販売する方法、『買い切り』は販売する本を購入して販売する方法です。『委託』は売れ残りを返品することが可能ですが『買い切り』はすべて自店の在庫となります。

本の仕入先は、取次会社を利用します。落合さんは「子どもの文化普及協会」をメインに扱いのない出版社の本は八木書店を利用、竹田さんは八木書店を中心に神保町周辺の取次会社(いわゆる『神田村』)を利用しているとのこと。注文は、落合さんはメールが基本でお店の定休日には店売所に行き、竹田さんは店売所に足を運ぶことが多いとのことでした。また、出版社から直接本を仕入れる『直取引』も使っているそうです。

本の情報はSNSで収集

本を選ぶときにSNSの情報を参考にしているというのがおふたりの共通点で、SNSや新聞書評などで見つけて気になった本があったらアマゾンで検索し、そこから関連本などをチェックして仕入れる本を決める流れとのことです。

実際に落合さんが注文したときのデータや開店してからこれまでに仕入れてきた本を記録したノートを見せていただきました。竹田さんは、お店で開催している読書会のお客さんから情報をもらうことも多いそうです。

 

選書風景のビデオ映像を流しながら、ところどころで映像を止めてコメントしていきます。


おふたりが注目している著者や作品のこと(「重版未定」の川崎昌平さん、「チョンキンマンションのボスは知っている」の小川さやかさん、など)や「この人が作った本は間違いない」と信頼している編集者のこと(「「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本」(通称「舞ボコ」)の柏書房・竹田さん)など、次々と話が盛り上がっていきました。ちなみに、推しの編集者で本を選ぶのは『本屋あるある』なのだとか。

 

落合流本を選ぶ4つのポイント


コメントの中で印象に残ったのは、落合さんが話した選書の基準についてです。落合さんは、本を選ぶ4つのポイントをあげられました。

1.テーマ 
2.版元 
3.著者 
4.装丁 

何が書かれているのか(テーマ)、どこから刊行されているのか(版元)、誰が書いているのか(著者)と装丁を基準にしているとのこと。加えて、推しの編集者が作った本であれば選書の決め手になるそうです。

出版社と書店をつなぐ、取次の存在

トークとビデオのあとは休憩も兼ねて八木書店店売所内の自由見学会です。 八木書店店売所は、1階で新刊、地下でバーゲンブックと呼ばれる自由価格本を販売しています。バーゲンブックとは、通常「再販売価格維持制度」によって定価販売されている書籍や雑誌で、一定期間を経て出版社が定価の拘束を外し、書店等で自由に価格がつけられるようになった商品です。八木書店では、バーゲンブックも多数取り扱っていて、地下の売り場にはたくさんの自由価格本が並べられていました。こちらの売り場のほかに、船橋に商品センターがあり、事業者向けにウェブ発注ができるECサイトも用意されているとのこと。

 

八木書店店売所 写真上:新刊棚、写真下:バーゲンブックフロア

八木書店店売所 写真上:新刊棚、写真下:バーゲンブックフロア

休憩後、参加者からの質問に答えるコーナーがあり、最後におふたりがそれぞれ選書した本がお店でどのように並べられて販売されているか確認してみてくださいという「自由研究課題」が出されて、今回のイベントは大盛況のうちに終了となりました。

 

上段右が落合さんの選書、その他は竹田さんによる選書

 いつもなにげなくのぞいている本屋さんが、並べる本をどのように選書しているのか、どこで仕入れているのか、取次会社はどのようなところなのかといった私たちの知らないことをいろいろと知ることができたイベントとなりました。登壇された落合さん、竹田さん、会場となった八木書店の皆さま、いろいろとありがとうございました。

 

■参考

八木書店ホームページ  https://company.books-yagi.co.jp/
 ・新刊取次  https://company.books-yagi.co.jp/for_retailer
 ・バーゲンブック  https://company.books-yagi.co.jp/wholesale_bargainbooks
 ・Twitter(こちら神田村取次八木書店店売所)https://twitter.com/toritugi_yagi

*イベントの感想が「#めえめえイベント」「#街灯りとしての本屋」のハッシュタグで関係者、参加者によって共有されています。

子どもの文化普及協会  https://b2b.kfkyokai.co.jp/shop/
双子のライオン堂  https://liondo.jp/
Readin'Writin' TAWARAMACHI BOOK STORE  http://readinwritin.net/
雷鳥社『街灯りとしての本屋』特設サイト http://www.raichosha.co.jp/bcitylight/index

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著者略歴

  1. 佐野隆広(タカラ~ム)

    本が好き!レビュアー(本が好き!レビュアー名:タカラ~ム)。はじめての海外文学フェアスタッフ。間借り本屋「タカラ~ムの本棚」店主
    11月から、はじめての海外文学vol.6がはじまりました。

    はじめての海外文学 公式サイト
    https://hajimetenokaigaibungaku.jimdofree.com/

    はじめての海外文学vol.6応援読書会(オンライン読書会)
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no395/index.html?latest=20

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