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【作家を読む】翻訳者・エッセイスト岸本佐知子

文学作品は、世界中、さまざまな言語で綴られて刊行されていますが、
海外文学を日本語で楽しむために、欠かせないのが、翻訳者の存在。
多くの翻訳者が活躍されていますが、なかでもエッセイストとしてもファンが多く、現代アメリカ文学を手掛ける翻訳家の岸本佐知子さん。
「岸本さんが推すなら」、「岸本さんが翻訳しているなら…」というきっかけで 新しい作家に出会ったという読者も多いのではないでしょうか。
というのも、岸本さんの手掛けてきた作品は、リディア・デイヴィス、ジャネット・ウィンターソン、ニコルソン・ベイカー、そしてミランダ・ジュライをはじめ、現代アメリカ文学の中でもかなりユニークな世界観をもった作家がずらり。

文章そのものはドライだけど、キャラクターにクセがあり、妄想癖強めな、独自の世界観をもつ作品群を、的確に表現した文章は、海外文学ファンの心をつかみ、岸本さんでなければ訳せなかったのでは、と思わせるほどベストマッチしています。
最新刊の『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(講談社)では、翻訳版に掲載する作品の選定から携わっています。 文学好きから抜群の信頼感を得ている、 岸本佐知子ワールドを堪能できる翻訳作品とエッセイをご紹介します。

 

 

1974年生まれのアーティスト。ミランダ・ジュライの感性が光る短編集

いちばんここに似合う人

書籍:いちばんここに似合う人
(ミランダ・ジュライ,岸本佐知子(翻訳) / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/63080/  

ずっと胸にあいている穴を、それは無理になにかで埋めようとしても埋まらないんだよ、と突き放され、だけどその穴はそのままでいいんだよ、と言ってもらえたような、どの物語にもそんな、嘘くさい慰めや救いじゃない、だからこそ本質的なところに届くような不思議な優しさがあるように思えた。(ちょわさん)
世の中はこんなに異常でひねくれているのだから、そこに疑問を持たず適応できている大人なんて絶対おかしい!少女は叫ぶ。 いや、みんなそれを演じているだけなのさ。 他人と人間関係を結べるなんて、すごくないか?(ぴょんはまさん)

 

オトナの成長痛はかくも痛々しい。

最初の悪い男

書籍:最初の悪い男
(ミランダ・ジュライ,岸本佐知子(翻訳) / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/268159/  

過剰に饒舌な心理描写はとどまるところを知らず、正直中盤くらいで相当ウンザリしてきたが、思いがけず切ない純愛に話が急展開。前半と後半の不可思議なギャップ感が面白い。(アリーマさん)

 

読んだら世の中を見る目が変わる!ニコルソン・ベイカーの目線のユニークさ

中二階

書籍:中二階
(ニコルソンベイカー,岸本佐知子(翻訳) / 白水社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/4042/  

岸本佐知子の語彙のセンスや物事に対するキテレツな感受性が、ベイカーの感受性とぴたりシンクロした抜群の訳文(いけぴんさん)
小さなものにも歴史や科学が潜んでいる、身近ものに纏わる思い出も一つのスパイスだったり、発見があったり。日常のわずかな時間を豊かにへんてこで充実した感じの中で暮らす方法が学べる。(ことなみさん)

 

シュールでブラック、不確かさがクセになる。ジュディ・バドニッツの短編集

空中スキップ

書籍:空中スキップ
(ジュディ・バドニッツ,岸本佐知子(翻訳) /マガジンハウス)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/165/  

これは当たり。表紙と題名に釣られた人は痛い目見ます(笑)23の短篇が収められているんだけど、どれも面白い。 意地悪さが生理的嫌悪感にまで高められ、そこにたっぷり妄想のデコレート。素晴らしい。 出オチに近い一発ネタの短篇ばかりなんだけど、それでも世界の広がりを感じる作品が多い。(すけきよさん)

 

文筆家としての才にファン多し!キシモトさんの名物エッセイ

ねにもつタイプ

書籍:ねにもつタイプ
(岸本佐知子 / 筑摩書房)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/177317/  

とにかく、一度パラッと手にしてみて、字面と挿し絵でピンときたら是非読んでみてください。相当、好き嫌い別れると思いますが…。 私自身は絶対また欲して読んでしまう作家さんだということを薄々感じているのです。(Kuraraさん)

 

没後再発見され、「アメリカ文学界の最後の秘密」と言われるルシア・ベルリン

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

書籍:掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集
(ルシア・ベルリン,岸本佐知子(翻訳) / 講談社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/279883/  

小さい頃の過酷な状況を、人が魂と呼ぶであろう場所で、自分のこととしてしっかり受け止め、一度他人事のように突き放して観ることで、突き抜けたユーモアと誰でも受け入れ可能な風通しのいい世界が立ち現れた。(青玉楼主人さん)
一読で人を引き込む魅力がある。波乱万丈だった作者の生涯の、実際のエピソードから切り取られた一篇一篇は、ユーモアとアイロニー、強くしたたかな生き様、アルコール中毒の苦しさ、市の気配、メキシコの乾いた空気と雑多なにおい、様々なものにあふれている。(Georgeさん)

このほかにも、岸本さんは複数の作家の短編小説を集めたアンソロジーを編訳する活動も積極的に行っています。
いきなり海外作家の長編小説を読むにはハードルが高い、という人は、まずはアンソロジーを読んで「この作家の作風は好き」という相性のあう作家を見つける入り方もおすすめ。

 

恋愛ではありません、変愛です。

変愛小説集2

書籍:変愛小説集2
(岸本佐知子(編訳) / 講談社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/63955/  

もしも妻の体に歯が生えてきたら? もしも妻がマネキンであることに気付いたら? そうした突拍子もない設定が生み出す「変愛」の中に垣間見える純粋な「恋愛」を切り取ってみせた、岸本佐知子による二冊目の小説集。(蜜蜂いづるさん)

 

2019年10月9日に待望のエッセイ新刊が発売!

ひみつのしつもん

書籍:ひみつのしつもん
(岸本佐知子/ 筑摩文庫)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/281207/  

 

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