ますます盛り上がる独立本屋の舞台裏。本屋とその周辺を楽しむためのおすすめ5選
こんにちは。実は本屋ライターとしての顔も持つ、本が好き!編集部の和氣です。
全国津々浦々の本屋を訪ねて10年間。東京だけに留まらずたくさんの個性的な本屋に魅了されてきた僕からすると、新聞や大手メディアで「出版不況の中~」という言説に対して疑問符をつけたくなります。確かに全国の書店数は少なくなっています。それはそれで悲しく寂しいことではあるでしょう。ですが、そんな中でも自分なりの意志と理想をもって本屋を始めようとする人はむしろ増えているように思うのです。
そんな小さくとも素敵な本屋を紹介する本をいくつか著者として、または共著者の一人として発表してきました。
・東京 わざわざ行きたい街の本屋さん
・全国旅してでも行きたい街の本屋さん
・日本の小さな本屋さん
以上の本は僕が全国の本屋を紹介した本ではありますが、ほかにも店主自身が書いた本もあれば、かわった切り口で紹介した本、前回の本屋入門まとめの決定版的本など多種多様な本があります。本屋の豊かな世界が垣間見るための5タイトル。もし興味を持ったら実際に本屋に行ってみてください。きっとあらたな出会いが待っています。
京都の名店が感じた90年代
2010年にイギリスのガーディアン紙が選ぶ「世界で一番美しい本屋10」にも選ばれた京都の名店・恵文社一乗寺店の元店長で、現在は独立して誠光社を経営する堀部篤史さんが修業時代を振り返ったエッセイ集です。一度行ってみれば虜になること請け合いな恵文社一乗寺店がどのように生まれたのか。本屋ってこんなに面白いんだということが良く分かります。
90年代のこと―僕の修業時代
書籍:『90年代のこと―僕の修業時代街灯りとしての本屋 11書店に聞く、お店のはじめ方・つづけ方』
(堀部篤史/ 夏葉社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/271384/
車が壁に突っ込んでいる今は無き店
ガケ書房は京都の銀閣寺から近い場所にある、店頭に車が突っ込んでいるビジュアルで有名な店です。近頃、復活したミュージシャンの小沢健二さんとも懇意にしていた店でもあります。残念ながら2015年に閉店しますが、はじめて訪れたときはこんなに自由な店があるんだ! という驚きと感動でした。そんなガケ書房の店主・山下賢二さんがどうしてガケ書房を開き、なぜ閉店するに至ったのか。素直な語りが染み入ります。
ガケ書房の頃
書籍:『ガケ書房の頃』
(和氣正幸 / エクスナレッジ)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/237454/
ガケ書房を閉じた男はホホホ座になった
『ガケ書房の頃』以降、著者の山下賢二さんは松本伸哉さんと出会いホホホ座を立ち上げます。編集ユニットでもあり、店舗名でもある謎の活動体・ホホホ座。これはそのホホホ座をはじめてしばらくして二人によって書かれた「反省文」です。個人経営の面白さと悲哀が描かれています。
ホホホ座の反省文
書籍:『ホホホ座の反省文』
( 山下賢二、松本伸哉 / ミシマ社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/286493/
本屋のなり方、決定版!
ビールも飲める本屋B&Bの共同オーナーのひとりであり、ブックコーディネーターとしても活躍。近年はnumabooksとして出版も手掛ける内沼晋太郎さんが、満を持して出版した本屋マニュアル決定版。生業として本屋をやりたい人から、カフェの一部や間借り出店など様々なケースに対応した素晴らしい本になっています。
これからの本屋読本
書籍:『これからの本屋読本』
(内沼晋太郎/NHK出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/265711/
東京、全国と続き、次は絵本へ
ということで、最後は和氣の新著の紹介であります。『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』『全国旅してでも行きたい街の本屋さん」と続いて、今回紹介するのは絵本屋さん。絵本専門店だけでなく絵本作家の美術館など絵本のある場所を全国120店(うち和氣は11店を担当)を紹介しています。3月2日発売予定です。
全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり
書籍:『全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり』
(和氣正幸ほか / ジー・ビー)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/286494/
このほかにも離島にある本屋だけを紹介した『離島の本屋 22の島で「本屋」の灯りをともす人たち』や女性店主の本屋をそのストーリーから紹介する『女子の古本屋』などなど本屋の世界はどこまでも深く広くいつまでも楽しめます。
さあ、本屋というエンターテインメントを楽しんでみませんか?