作家を読む 生誕100年 色褪せない個性 島尾ミホ おすすめ5選
作家・島尾敏雄の妻で、作家としても活動した、島尾ミホは1919年生まれ。生誕100年となる今年は短編集『祭り裏』の復刊や記念イベントの開催、梯久美子さんによる評伝『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)が文庫化になるなど、注目を集めています。
2019年は島尾ミホ生誕100年
『死の棘』にまつわる謎と島尾夫婦の実像に迫った、渾身の評伝
書籍:『狂うひと :「死の棘」の妻・島尾ミホ (新潮文庫)』
(梯久美子 / 新潮社)
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圧倒的、という言葉が共通するレビュー。著者の梯さんを引き付けた、島尾敏雄の『死の棘』のモデルとなった女性、島尾ミホとはいったいどんな人物だったのか? 彼女の著作からおすすめ本をご紹介します。
1919年10月24日、鹿児島県大島郡瀬戸内町加計呂麻島生まれ。加計呂麻島の国民学校に代用教員として在職していた戦時中、海軍震洋特別攻撃隊の隊長として駐屯した作家の島尾敏雄と出会う。敗戦後の46年、結婚。75年『海辺の生と死』で南日本文学賞、田村俊子賞を受賞。07年3月25日、脳内出血のため奄美市の自宅で死去。他の著作に『愛の棘』『海嘯』(幻戯書房刊)。(『祭り裏』より)
島尾ミホのおすすめ作品
故郷・奄美大島、加計呂麻島の暮らしを生命力あふれる文章で綴った一冊
書籍:『海辺の生と死 (中公文庫)』
(島尾ミホ / 中央公論新社)
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石牟礼道子との対談。ふたりの美しい日本語に魅了される
書籍:『ヤポネシアの海辺から―対談』
(島尾ミホ,石牟礼道子 / 弦書房)
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運命的な出会いから恋へ。特攻隊長・島尾と交わした手紙を全文復刻
書籍:『島尾敏雄・ミホ - 愛の往復書簡』
(島尾敏雄,島尾ミホ / 中央公論新社)
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島尾敏雄との関係をミホ目線で捉えたエッセイ
書籍:『愛の棘: 島尾ミホエッセイ集』
(島尾ミホ/ 幻戯書房)
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作家・島尾ミホが遺した奄美を舞台にした未完の小説
書籍:『海嘯 (銀河叢書)』
(島尾ミホ / 幻戯書房)
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おわりに
『死の棘』があまりに有名な私小説であるため、読者の多くは、島尾ミホを“『死の棘』の妻のモデル”“狂気の人”、として認識するのだと思いますが、ミホ自身のエッセイや小説では、国語教師であった彼女の堪能な言葉遣いや、素直で穏やかな語り口が印象に残ります。
奄美大島という、独特の風習や言葉、自然とともに人が共生してきた文化的背景がミホのもつ個性であり、ひとりの男性への愛を貫いた情の強さは、時を経ても生々しく読者をひきつけ、その引力が衰えることはありません。
島尾敏雄という作家を夫に持ちながら、妻であるミホ自身も作家としての才を備えていた。強烈なふたつの個性は、南国に逞しく根付く、鮮やかな花のように、文学作品を鑑賞する、という域を超えて、生きることの喜び、苦しみを作家自身の体験を通じて読み手に伝えてくれます。
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