【作家を読む】ワークスタイルとライフスタイルのいい関係 働き方研究家 西村佳哲 おすすめ7選
ワークもライフも。スタイルを見直すべきとき
働き方が多様化する中、改めて「働くことの意味」「仕事の選択」について自問する機会が増えているように思います。生きるために、自立するために、社会や他者との関わりの中で果たすべき自らの役割。それが仕事の根本にはあります。
今回、特集するのは、働くことの本質について考え、発信している「働き方研究者」西村佳哲(にしむら・よしあき)さん。
著作『自分の仕事をつくる』は、2003年に単行本初版が刊行されて以来、ロングセラーであり続けています。それほど私たちにとって仕事は不可分で、普遍的なテーマといえるからでしょう。
2019年12月に増補新版で文庫化された『増補新版 いま、地方で生きるということ』。単行本『いま、地方で生きるということ』(ミシマ社)は、東日本大震災が起きた2011年に刊行されている。「いま、地方で…」をテーマに地方で暮らす選択をした人たちを8年後に再取材。自分の仕事を作り出し、地に足をつけて生きるとはどういうことかを改めて考えさせてくれる。
本書をはじめ、ワークスタイルとライフスタイルを見直すきっかけをくれる。西村佳哲さんのおすすめ本をご紹介します。
《2019年12月》地方で仕事や暮らしをつくり出す人たち。8年後のインタビューを加えた決定版
書籍:『増補新版 いま、地方で生きるということ』
(西村佳哲 / 筑摩書房)
1964年東京生まれ プランニング・ディレクター、リビングワールド代表、働き方研究家 多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。 武蔵野美術大学卒。大手建設会社を経て、つくる・書く・教える、大きく3つの領域に取り組む。
2014年から東京と徳島県神山町での二拠点居住を始め、同町の「まちを将来世代につなぐプロジェクト」に一般社団法人 神山つなぐ公社(2016?)理事として参画。
著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫))『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』(弘文堂)『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(弘文堂)、『かかわり方のまなび方』(筑摩書房)『一緒に冒険をする』(弘文堂)等がある。
Living World https://www.livingworld.net/
働き方シリーズ
仕事とはなにか。「いい仕事」はどこから生まれるのか。仕事を「自分の仕事」にするためにはなにが必要か。八木保を、柳宗理を、ヨーガン・レールを、パタゴニア社を、ルヴァンを、象設計集団を、さまざまな「いい仕事」をする人々を訪ねて回った貴重な記録。
《2003年10月初版》著者代表作にして、ロングセラー
書籍:『自分の仕事をつくる』
(西村佳哲 / 筑摩書房)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/178610/
《2011年6月》人間の一番の仕事とは、「自分をいかして生きる」ことなんじゃないか?働き方探検第二弾
書籍:『自分をいかして生きる (ちくま文庫)』
(西村佳哲 / 筑摩書房)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/187940/
《2014年10月》「仕事」の先には必ず人が居る。「いい仕事」は他者も動かす。働き方探検第三弾
書籍:『かかわり方のまなび方』
(西村佳哲 / 筑摩書房)
レビューを書く:https://www.honzuki.jp/book/171381/
「自分の仕事を考える3日間」シリーズ
全国から数百名の人々が奈良の図書館に集まって、“自分の仕事”について考え合った、3日間のフォーラムから生まれた本。毎回8名のゲストスピーカーを招き、西村さんがファリシテーターをつとめた。
《2009年12月》僧侶、映画監督、作家、アーティスト、プロデューサーに訊く「あなたは何を大切にして働いていますか?」
書籍:『自分の仕事を考える3日間 I』
(西村佳哲 / 弘文堂)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/6808/
《2010年12月》建築家・ファシリテーター・出版人・ソーシャルワーカーは「どんなふうに働いて生きてゆくの?」
書籍:『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』
(西村佳哲 / 弘文堂)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/174128/
《2011年12月》自然学校創設者、建築家、デザイナーの「働くことを生きていくことと」
書籍:『わたしのはたらき』
(西村佳哲 / 弘文堂)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/198941/
終わりに
西村さんはインタビューやフォーラムで、ある一つのテーマをもって心惹かれる仕事人にインタビューされています。第一線で活躍する、職人として素晴らしい仕事をする、魅力的な方々のインタビューが登場しますが、その華々しさよりも、訊きたいテーマに沿っ個人の想いにスポットライトが当たっており、彼らのシンプルな哲学や真摯な姿勢が心に残ります。「(仕事について)このことを訊ねたい」というテーマが共通しているからこそ、読み手も原点にいつでも立ち戻ることができます。
また、建築、デザインの分野で学んだからこその無駄のない「平易な表現」が、働くことと生きることという複雑に絡みあった事情をすっとときほぐしてくれます。これから仕事をはじめる人にも、今働いている人にも読めば発見のある著作です。世の中の動きがどんなに激しくとも、ブレない原点が自分の中にある、それがこの時代を生きていく強みになるように感じます。