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monthly bookreview ranking

今月の1位は、お針子としてたくましく生きるひとりの女性の成長物語『ミシンの見る夢』(河出書房新社)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2021年11月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2021年11月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
ミシンの見る夢
書籍:ミシンの見る夢
(ビアンカ・ピッツォルノ、中山エツコ/河出書房新社)
レビュアー:yukoさん 得票数:45
書評掲載日:2021-11-01 21:39:06
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/296762/review/268755/

この本を読んだ翌日にフィンレイソン展を見に行ったら、久しぶりにお裁縫がしたくなりました。

階級社会の残る19世紀末のイタリア。コレラで家族を次々と亡くし祖母と二人きりになったのは五歳の時。七歳から祖母は簡単な針仕事を「私」にさせるようになりました。 町には力のある、アトリエをかまえて従業員も雇っていた本物の女性裁縫師は二人いたけれど、祖母は日々のごく単純な縫物を頼む「お針子」とみなされていました。そしてその孫である私も同じ。貧しい中でも厳しく祖母にしつけられ、祖母の愛情を受けて育った「私」 彼女もまた祖母と同じようにお屋敷に通って針仕事をするようになります。…続きを読む

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2位
象の旅
書籍:象の旅
(ジョゼ・サラマーゴ、木下眞穂/書肆侃侃房)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:34
書評掲載日:2021-11-04 18:53:30
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/301450/review/268698/

あいかわらず「」はないし改行もほとんどなく、一ページにこれでもかと文字がびっしり詰め込まれた独特の文体にもかかわらず、軽妙でユーモアたっぷり、リズムのある語り口。これ作家はもちろん訳者も凄いぞ。

16世紀、正確には1551年、ポルトガル国王ジョアン三世は、従弟のオーストリア大公に結婚祝いとして、自らが所有するインド象を贈ろうと思い立つ。この小説に基づいてより正確に記するならば、思いついたのは国王ではなく王妃だというのだがその真偽はさておき、ジョアン三世の命により一頭の象がおつきの一行と共にひたすら歩いてポルトガルからオーストリアまで旅をしたというのは、まぎれもない史実なのだった。…続きを読む

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3位
数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた
書籍:数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた
(ケイレブ・エヴェレット、屋代通子/みすず書房)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2021-11-16 09:49:18
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/303073/review/269253/

「数の感覚」は「本能」的なものではなく、「発明品」である。

私たちの生活において、「数」は非常に重要だ。 今日は何日? あなたはいくつ? この品物はいくら? これは何グラム? 多くのものが「数」によって描写され、規定される。数がない暮らしはちょっと想像しにくいほどだ。 だが、世界には、実際に「数」を理解しない文化がある。身長はどのくらい? お給料はいくら? そんな質問がまったく意味をなさない人々がいるのである。…続きを読む

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4位
飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
書籍:飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
(エドワード・ケアリー、古屋美登里/東京創元社)
レビュアー:darklyさん 得票数:31
書評掲載日:2021-11-01 19:58:38
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/299048/review/268756/

エドワード・ケアリーを読んだことがない方は彼の長編から読むことをお勧めします。

アイアマンガー三部作<堆塵館><穢れの町><肺都>の作者による日本オリジナル短編集です。アイアマンガー三部作を読んですっかりエドワード・ケアリーワールドに引き込まれた私のような者にとっては、なかなか味わいの深い短編集となっていますが、正直、彼の作品を全く読んだことがない方はなかなか「?」な内容ではなかろうかと思います。食べ物にも小説にも味わい方というものがあって、それは理解できる、できない、ということとは少し違ったものに思えます。…続きを読む

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5位
もりはみている
書籍:もりはみている
(大竹英洋、大竹英洋/福音館書店)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:29
書評掲載日:2021-11-04 16:07:36
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/302799/review/268830/

「もりは しずまりかえり なにもしゃべらないけれど」から始まる美しい森の写真絵本。

「もりは しずまりかえり なにもしゃべらないけれど」から始まる美しい森の写真絵本。開くと、芳しい匂いがしてきそうだ。
しずまりかえった森にいったら、こちらもしゃべらないで、しずまっていたい。そうしたら………続きを読む

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5位
アンゲラ・メルケル:東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで
書籍:アンゲラ・メルケル:東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで
(マリオンヴァン・ランテルゲム、清水珠代/東京書籍)
レビュアー:休蔵さん 得票数:29
書評掲載日:2021-11-15 11:46:41
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/302576/review/268774/

「良心に従うべき問題においては、価値観が重要になる」というメルケルの言葉は響きました。価値観をいかに養っていく、それはいくつになっても重要な問題として認識しておく必要があるはず。

アンゲラ・メルケル。ドイツで長期にわたり政権を守りぬいた女性首相。おしゃれや化粧にほとんど興味なし。必要以上にお金を求めることはなく、首相官邸を利用はせずにガードマンを最低限としてアパート暮らしを良しとする。国民が普通に足を運ぶスーパーで自らが商品を吟味し、日々を過ごす。ゴルフに勤しむわけではなく、自然散策を楽しんだりする。…続きを読む

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7位

書籍:つづきの図書館
(柏葉幸子/講談社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:28
書評掲載日:2021-11-05 22:27:44
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/43298/review/268675/

口コミで広がる最高傑作。

本が好き!で評判となり、たくさんの書評がある作品です。サイトの機能にある読みたい本リストの第一列に長らくいました。ようやく棚卸ししました。
いやー、面白かったですね。小学生みたいな感想ですが、最高傑作を読むと言葉はシンプルになります。発想力、展開力、読み手を惹きつける雰囲気、どれをとっても文句なしです。…続きを読む

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7位
魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)
書籍:魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)
(ディーノブッツァーティ/東宣出版)
レビュアー:hackerさん 得票数:28
書評掲載日:2021-11-19 16:48:07
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/259174/review/269333/

ブッツァーティは、ステルン、カルヴィーノ、パヴェーゼ、ロダーリと並んで、私の好きなイタリア文学者です。本書は本邦初訳を中心とした三冊の日本独自編纂短編集の第一巻です。

ブッツァーティ(1906-1972)は20世紀イタリア文学を代表する作家ですが、同時に、ドイツ語文学のカフカ(1883-1924)、ポーランドのシュルツ(1892-1942)と並んで、20世紀不条理文学を代表する作家でもあります。この3人は、生まれがちょうど10年ぐらいずつ離れていますが、世界大戦を経験したヨーロッパで、こういう作家が輩出したことも、単なる偶然ではないのでしょう。…続きを読む

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9位

書籍:黒い天使
(アントニオタブッキ/青土社)
レビュアー:DBさん 得票数:27
書評掲載日:2021-11-19 23:45:06
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/69550/review/269376/

抑圧された心の闇の話

タイトルとなっている「黒い天使」は、美貌の熾天使ルチーフェロ、きっとルシファーだと思うが、神に反逆した時にルチーフェロの側についた天使たちをさすそうです。堕天使は人間の心の暗い闇を大きくして、心の外へ翼を広げて怖れと絶望を広げていくかのようだ。六つの短編集となっているが、どれも幻想的でありながらリアルな心を追求した興味深い作品になっていた。…続きを読む

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9位

書籍:きのこ博物館
(根田仁/八坂書房)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:27
書評掲載日:2021-11-01 16:28:44
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/29911/review/268746/

人、キノコに出会う。

人とキノコとの関りを書いた本です。 著者は、キノコの分類・栽培などの研究者。 農村文化社の『特産情報』という雑誌に連載されたエッセイを一冊にまとめたもの。
古来、人はキノコの急な出没におどろき、その形状や色に魅せられ、あるいは怪しみ、匂いを嗅いで、恐る恐る食べ、あるときは舌鼓を打ち、ある時は毒にあたって悶絶し、恍惚となったり、可笑しくもないのに笑い狂ったり、不運にも死んでしまったり……。
そんな人とキノコの話が全33話、古今東西の文献から紹介されています。…続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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