今月の1位は、典型的なホラーの型に嵌らない自由な展開に引き込まれる『営繕かるかや怪異譚 その参』(KADOKAWA)
本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2023年3月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2023年3月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)
1位
書籍:『営繕かるかや怪異譚 その参』
(小野不由美/KADOKAWA)
レビュアー:darklyさん 得票数:36
書評掲載日:2023-03-08 19:46:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/313724/review/288526/
もはや名人芸としか言いようのない自由な話。ホラーなのかすらよく分からない。
このシリーズの特徴は物語の結末というか怪異に対する解決方法がそれぞれ異なることです。それどころか解決したかどうかの結論も分からないものもあります。だからお決まりのパターンだとか決まり文句だとか、そういうものはありません。私たちが多分読者として深層心理で期待しているのは怪異のロジックであるため人によっては何か消化不良の怪異譚のように思えるかもしれません。…続きを読む
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2位
書籍:『アリスが語らないことは』
(ピーター・スワンソン、務台夏子/東京創元社)
レビュアー:茜さん 得票数:35
書評掲載日:2023-03-06 02:13:28
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/304595/review/288405/
『そしてミランダを殺す』の著者の恐るべき筆力を堪能できる圧巻のサスペンス!
ピーター・スワンソン氏の本を読んだことあると思っていたら、これが初めてでした。
おかしいなぁと思っていたら「そしてミランダを殺す」の作者で、タイトルと作家を覚えていただけだったと判明。。。勘違いでした。
さて、本作を説明するのには何と言ったら良いのか迷うのですが、まぁ、なんと色々なことを詰め込んだんだろうと感心してしまいます。…続きを読む
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2位
書籍:『洞窟と考古学者: 遺跡調査の足跡と成果』
(福井洞窟ミュージアム、倉敷考古館/雄山閣)
レビュアー:休蔵さん 得票数:35
書評掲載日:2023-03-13 07:14:53
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/315137/review/288515/
本書は、九州北西部の洞窟遺跡とその謎を追跡した考古学者を紹介した概説書である。長崎県の福井洞窟ミュージアムと岡山県の倉敷考古館で開催された企画展の図録でもある。
洞窟遺跡は、日本ではあまりメジャーではないかもしれない。
日本では開発に伴う発掘調査が圧倒的に多いため、開発されることがまずない洞窟遺跡の調査は学術的な目的のものに限られるからだろう。
でも、洞窟遺跡は日本の歴史を解明するうえために重要となる情報を数多く埋没させているようだ。…続きを読む
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2位
書籍:『白の闇』
(ジョゼ・サラマーゴ/河出書房新社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:35
書評掲載日:2023-03-13 08:51:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/286933/review/288685/
乳白色の悪夢の中を彷徨う
ポルトガルの作家、ジョゼ・サラマーゴが1995年に発表した小説。
人々を突然、謎の奇病が襲う。目が見えなくなる、正確には、視界が真っ白になる病気である。特段の予兆もなく、ある日、ある男の目が見えなくなる。検査しても異状は見つからず、原因もわからない。これはどうやら伝染性であるようで、男に関わった人々、そして彼らに関わった人々、と野火のように発症が広がっていく。…続きを読む
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5位
書籍:『ペスト(新潮文庫)』
(カミュ/新潮社)
レビュアー:三毛ネコさん 得票数:34
書評掲載日:2023-03-19 12:21:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/261105/review/288933/
伝染病の流行を描いた有名な小説です。
194×年、アルジェリアのオランで奇妙な事件が起こった。
オランは平穏な町であり、住民は退屈していた。
はじめは、一匹のネズミの死であった。医師のリウーは診療室から出ようとして、階段口の真ん中で死んだネズミにつまずいた。その日、アパートの玄関で部屋の鍵を探していると、廊下でネズミが倒れて死んだ。…続きを読む
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5位
書籍:『どこから行っても遠い町』
(川上弘美/新潮社)
レビュアー:三太郎さん 得票数:34
書評掲載日:2023-03-09 21:42:18
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/250613/review/288550/
東京のありふれた街の住民たちのちょっと不思議な物語。
川上さんの2008年発表の短編集を読んだ。実は読むのはこれで二回目なのだが、最初に読んだ時にはこれはいったいどういった短編集なのか分からなかった。というのも川上さんの短編集は全体としての統一感がいつもあったように思えたので。それがこの本では判らなかったのだ。…続きを読む
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5位
書籍:『ウマと話すための7つのひみつ』
(河田桟/偕成社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:34
書評掲載日:2023-03-10 08:09:26
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/314358/review/286999/
「でも、ごくたまに、人のなかにも、 馬語の半分くらいはわかるようになる こどもがいるみたいです」
ウマは、ウマ同志だけで通じる言葉「馬語」を話しているから、ヒトはウマの言葉がわからないし、ウマはヒトの言葉がわからないのだ。
「でも、ごくたまに、人のなかにも、
馬語の半分くらいはわかるようになる
こどもがいるみたいです」
それはどんなこどもなのかな。…続きを読む
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5位
書籍:『図書館』
(ゾラン・ジヴコヴィチ/書肆盛林堂)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:34
書評掲載日:2023-03-01 11:51:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/314612/review/287994/
10年越しの願いが叶って、とうとうゾラン・ジヴコヴィチの『図書館』を訪れるときがきた!
はじめてゾラン・ジヴコヴィチに出会ったのは、忘れもしない2011年に東京創元社が刊行した21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集 『時間はだれも待ってくれない』でのことだった。 ここから『ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語 (Zoran Zivkovic's Impossible Stories)』に手を伸ばし、2015年に 『12人の蒐集家/ティーショップ (海外文学セレクション)』が刊行された時には、きっとこれからは、この作家の作品が続々と翻訳されるに違いないと、期待に胸を躍らせたものだった。…続きを読む
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9位
書籍:『灯台へ』
(ヴァージニアウルフ/岩波書店)
レビュアー:hackerさん 得票数:33
書評掲載日:2023-03-08 01:22:48
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/57943/review/288215/
ヴァージニア・ウルフ畏るべし。
本書にはヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の詳しい年譜がついています。それによると、彼女の父親は文芸評論家・哲学者レズリー・スティーヴン、母親ジュリアは弁護士の未亡人だった女性で、共に再婚であり、結婚時には父親には一人、母親には三人の連れ子がいました。結婚後、男と女二人ずつの子供が生まれ、ヴァージニアは次女でした。ですから、8人の子供を抱える大家族でした。…続きを読む
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9位
書籍:『101/2章で書かれた世界の歴史』
(ジュリアンバーンズ/白水社)
レビュアー:ぷるーとさん 得票数:33
書評掲載日:2023-03-10 07:26:52
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/276289/review/287792/
歴史の概念が変わる、なんとも奇妙な物語。
ノア方舟のエピソードのパロディから始まる10章からなる短編と、作家のつぶやきともとれる挿入章からなる一風変わった作品。
10の話は時代も場所も語られていることがらも異なり、文体も神話のパロディ、裁判記録、回想風の独白、学術論文風と、さまざまだ。それぞれの話は独立しており、互いの関連性はない。それでいて、この10の話は、少しずつ繋がりあっている。…続きを読む
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