本とその周辺にある事柄・人をつなぐ

MENU

monthly bookreview ranking

今月の1位は、気負わず、気取らず、知ったかぶらず、古今東西94作を語りあげる『やりなおし世界文学』(新潮社)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2022年7月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2022年7月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
やりなおし世界文学
書籍:やりなおし世界文学
(津村記久子/新潮社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:39
書評掲載日:2022-07-23 12:47:18
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309506/review/278887/

未読の本が読みたくなるのは想定内だが、読んだことのある本の話がこれほど面白いとは。まさにいろいろやりなおしたくなる一冊だ。

芥川賞作家が語る世界文学と聞いてまず思い浮かべるのは、池澤夏樹さんの 『世界文学を読みほどく』
作者紹介や小説のあらすじに加え、作品の時代背景や文学史上の位置などにも言及するような、教養(うんちく)系の内容を想像しながら、手に取ったこの本は、良い意味で予想をうらぎってくれた。
作家津村記久子さんが語るのは、古今東西94作もの文学作品。冒頭は「ギャツビーって誰?」と首をかしげつつ、今さら聞けない『華麗なるギャツビー』。…続きを読む

【お知らせ】
書評でつながるコミュニティサイト「本が好き!」では、本作で紹介された作品を読みあう、オンライン読書会を開催中です!ぜひ覗いてみてください。

---------------------------

2位
ピラネージ
書籍:ピラネージ
(スザンナ・クラーク、原島文世/東京創元社)
レビュアー:darklyさん 得票数:36
書評掲載日:2022-07-04 20:05:09
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/305601/review/278354/

ファンタジー作家によるファンタジーであることは間違いないが、私にはSFとオカルトが混ざったような話に思える。

主人公の名前はピラネージ。しかし彼は自分が誰なのか分かっていない。その場所にいる「もうひとり」が彼をそう呼んでいるだけ。その場所とは古代の彫刻や像がある広間が無数に連なっているところだ。広間は横に広がっているだけではない。上層には雲がある高さまで、下層には潮流が流れ込む。…続きを読む

---------------------------

2位
それでも、世界はよくなっている
書籍:それでも、世界はよくなっている
(ラシュミ・サーデシュパンデ、神田由布子/亜紀書房)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:36
書評掲載日:2022-07-11 07:01:21
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309583/review/278437/

顔を背けたいくらいに惨いニュースが溢れている。腹立たしかったり、情けなかったり、不安だったり……。それでも、世界はよくなっている、というのだろうか。

顔を背けたいくらいに惨いニュースが溢れている。腹立たしかったり、情けなかったり、不安だったり……。それでも、世界はよくなっている、というのだろうか。
政治はどうだろうか。環境は守れているのだろうか。世界に医療と衛生は行き渡っているか。みんなが平等だと感じているだろうか。そして……。首を横に振りたくなるようなあれこれのニュースを思い出す。
「でも待って」と著者はいう。…続きを読む

---------------------------

4位
コスメの王様
書籍:コスメの王様
(高殿円/小学館)
レビュアー:Wings to flyさん 得票数:34
書評掲載日:2022-07-11 16:51:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/305550/review/278642/

「東洋の化粧品王」と「花街のクイーン」、絡み合い支えあい激動の時代を駆け抜けてゆく、ふたつの人生の物語。

明治末期から大正時代、神戸にはハイカラな居留地文化が広まり、経済発展の活気が満ちていた。そんな港町を舞台にしたこの作品には、ふたりの主役がいる。
男性主人公の名は、永山利一という。彼には実在のモデルがいるそうだ。今も続く化粧品メーカー「クラブコスメチックス」の初代社長、中山太一氏である。貧しい境遇から身を起こし、国産コスメ商品の開発に成功して「東洋の化粧品王」と呼ばれ、関西経済界の雄となる。…続きを読む

---------------------------

5位
みかんとひよどり
書籍:みかんとひよどり
(近藤史恵/KADOKAWA)
レビュアー:DBさん 得票数:32
書評掲載日:2022-07-12 21:35:55
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309710/review/278726/

命を美味しくいただく話

カドブン2022参加書評です。ミカンとヒヨドリというタイトルには庭木にミカンを刺しておいて野鳥を呼び寄せるようなイメージしかなく、でも表紙がレストランみたいだしと思いながら読んでみました。
読んでみればジビエが得意なフレンチシェフの話で、ヒヨドリも立派な食材だった。 鶏肉以外はウズラか鴨くらいしか思い浮かばずヒヨドリが食材というイメージがなかった。…続きを読む

---------------------------

5位
縄文ムラの原風景―御所野遺跡から見えてきた縄文世界
書籍:縄文ムラの原風景―御所野遺跡から見えてきた縄文世界
(高田和徳、菅野紀子、御所野縄文博物館/新泉社)
レビュアー:休蔵さん 得票数:32
書評掲載日:2022-07-11 06:43:31
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309569/review/278418/

日本中に数多くの遺跡があり、それぞれにドラマがあるはず。本書は御所野遺跡という縄文ムラを掘り下げに掘り下げた1冊。写真がふんだんで、説明も分かりやすく、楽しい仕上がりです。

 2021年、「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコの世界文化遺産に登録された。17の考古遺跡で構成されたもので、本書が概説する岩手県一戸町の御所野遺跡もその1つだ。
 本書は、御所野遺跡における縄文人たちの生活のありさまを、詳細かつ分かりやすくまとめた1冊である。…続きを読む

---------------------------

7位
シュガータイム
書籍:シュガータイム
(小川洋子/中央公論社)
レビュアー:三太郎さん 得票数:31
書評掲載日:2022-07-22 23:38:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/72384/review/279127/

小川洋子さんの書いた最初の長編小説で、不思議な雰囲気の青春小説。

小川さんの最初の長編だという。読み始めたら、僕でも普通に読めるのでちょっとびっくり。これまで読んだ小川さんのどの作品よりも読み易いのだ。この作品から読みだしたら、小川作品への僕の理解はより深まったのかもしれない。…続きを読む

---------------------------

7位
大蛇全書
書籍:大蛇全書
(田原義太慶、柴田弘紀、友永達也、田原義太慶/グラフィック社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:31
書評掲載日:2022-07-11 11:15:44
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309690/review/278681/

聖か邪か。ある時は神、ある時は怪物として語られてきた生物の総覧。圧巻。

ヘビというのは不思議な生き物だ。四肢はなく、静かに忍び寄る。チロチロ動く舌。何を考えているかわからない眼。ヘビに忌避感を持つ人は少なくないだろう。だが一方で、ヘビ柄はファッションに取り入れられ市民権を得ている。
古来、ヘビは神話や説話に多く取り入れられ、ある時は神であり、ある時は人と敵対する怪物であった。本書ではこうしたヘビのうち、旧蛇類と呼ばれるボアやパイソン、一般に「大蛇」として知られるものを紹介する。…続きを読む

---------------------------

7位
異端の祝祭 (角川ホラー文庫)【Kindle】
書籍:異端の祝祭 (角川ホラー文庫)【Kindle】
(芦花公園/KADOKAWA)
レビュアー:ことなみさん 得票数:31
書評掲載日:2022-07-25 08:42:47
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/300445/review/279212/

裏表紙に【ページを開いた瞬間、貴方はもう取り込まれている】と紹介がある。民俗学カルトホラー ということで、面白そうだし読んでみるかなと本を開いて目次を読んだ。カドブン夏フェア2022

開いてみてナンダこの目次は、と目が泳いだ。まずストーリーに入る前に、この目次の意味を知りたいと思い「おらしょ」と「ぱしょん」で聖書系かと見当をつけて調べてみた結果が()内。
第一章  べやと  (果報なるもの)
第二章  ぱしょん (受難)
第三章  おらしょ (願い 祈り)
第四章 てんたさん(試し)
第五章 ばうちずも(洗礼)
終章  なたる  (降誕祭 クリスマス)
目次をヒントにして、よく知らない聖書の世界に迷いながら読み終えた。…続きを読む

---------------------------

10位
木曜日にはココアを
書籍:木曜日にはココアを
(青山美智子/宝島社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:30
書評掲載日:2022-07-11 21:42:05
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269205/review/278421/

人気作家の実質的デビュー作です。

青山美智子さんは、快進撃の続いている人気作家さんです。読みやすく、ちょっといい話がそろっていて、キャラクター作りも上手で、しかも連作短篇が多い作風です。
大きな文学賞には無縁の雰囲気ですが、本屋大賞がフォローしてくれそうな作品が多いです。…続きを読む

---------------------------

 読んだ方は感想を、本が好き!へ投稿してみてくださいね。 会員登録はこちらから。

タグ

バックナンバー

著者略歴

  1. 365bookdays編集部

    365bookdays編集部です。

閉じる