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monthly bookreview ranking

今月の1位は、モーム自身の実体験をもとにした物語『アシェンデン―英国秘密情報部員の手記』(筑摩書房)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2023年7月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2023年7月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
アシェンデン―英国秘密情報部員の手記
書籍:アシェンデン―英国秘密情報部員の手記
(サマセットモーム、河野一郎/筑摩書房)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:37
書評掲載日:2023-07-17 05:39:06
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/316747/review/293316/

#やりなおし世界文学 読んでみたのは、あのモームが実際の体験を元に描いたというスパイ小説!?

大戦勃発当時、海外にいた作家アシェンデンが、何とか英国に帰りついたのは、やっと九月初めになってのこと。
帰国して早々、情報部にスカウトされた。
ヨーロッパの数カ国語に通じているというだけでなく、作家という職業はうってつけの隠れみのになる。
つまり小説のネタ探しを口実に、人目を惹かずどの中立国でもいける。
作家自身にとっても貴重な材料が手に入ることだろう。
R大佐いわく、「きみは情報部員にはもってこいだ」というのである。…続きを読む

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2位
東大寺の考古学: よみがえる天平の大伽藍 (518)
書籍:東大寺の考古学: よみがえる天平の大伽藍 (518)
(鶴見泰寿/吉川弘文館)
レビュアー:休蔵さん 得票数:35
書評掲載日:2023-07-10 06:51:55
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/317956/review/293111/

平成12年に奈良県立橿原考古学研究所付属博物館で開催された『大仏開眼-東大寺の考古学-』の展示図録の解説をまとめ直したもの。発掘調査成果だけではなく絵図や古文書も駆使した古代東大寺の概説書である。

奈良の観光名所として東大寺は必ず紹介されると思う。奈良時代に建立された東大寺であるが、そのままの形で継承されたわけではなく、戦災や自然災害などを潜り抜け、新たに手が加えられながら継承されてきたものである。大仏はもちろんのこと、それを安置する大仏殿も再建立が繰り返されてきた。
 では、奈良時代の様相はまったく分からないかというとそんなわけではなく、発掘調査の成果など、様々な手段で奈良時代の様子を知ることができる。…続きを読む

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3位
世界でいちばん透きとおった物語
書籍:世界でいちばん透きとおった物語
(杉井光/新潮社)
レビュアー:茜さん 得票数:34
書評掲載日:2023-07-03 00:11:51
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/317686/review/292872/

絶対に予測不能な衝撃のラスト――あなたの見る世界は『透きとおる』。

ツイッターのTLで流れてきた本書。タイトルがちょっとメルヘンチックでどうだろう?と思っていたのですが、何回もTLに表示されるので興味が出て読みました。
私はどんな小説であれ、そこには作者の訴えたいことや企みがあると思っています。 しかし、この本は企みどころではない、物凄い仕掛けがありました。…続きを読む

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3位
黄色い家 (単行本)
書籍:黄色い家 (単行本)
(川上未映子/中央公論新社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:34
書評掲載日:2023-07-20 21:18:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/314898/review/293166/

弱者が生きるということ。息が詰まりそう。

苦しい物語でした。六百頁の長篇ですが、どんどんと展開が頭に入ってくるので長さは気になりませんでした。むしろ二百頁ぐらいだと消化不良でも起こしそうな、心理的に濃密な作品でした。苦しいのに読み続けるしかなく、気が晴れるわけでもありません。でも読まずにはいられない、そんな一冊です。…続きを読む

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3位
小さいおうち
書籍:小さいおうち
(中島京子/文藝春秋)
レビュアー:hackerさん 得票数:34
書評掲載日:2023-07-10 01:28:33
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/205137/review/292865/

「詞(ことば)にも 歌にも なさじ わがおもひ その日そのとき 胸より胸に」(本書で引用されている与謝野晶子の歌)

2010年刊の本書については、いろいろな方が賞賛の書評を書いておられますし、カバーの裏表紙には「最終章が深い余韻を残す傑作」と謳ってありますが、まさにその通りの作品だと思います。本書は、昭和の初期に山形の田舎から東京へ女中として働きに出たタキという13歳の少女だった女性が、年老いてからの一人暮らしの中で、終戦までの日々を回想して書いた手記という構成をとっています。…続きを読む

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6位
スターバト・マーテル
書籍:スターバト・マーテル
(ティツィアーノスカルパ/河出書房新社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:33
書評掲載日:2023-07-02 07:15:07
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/186977/review/290799/

「……頭上に音楽が投げつけられ、人が一年の間に生きるものすべてを聞いた」

孤児を養育するヴェネチアのピエタ養育院が舞台である。 赤毛の司祭ことヴィヴァルディが、前職からひきついで、作曲家兼指揮者として養育院の少女たちの音楽教育に当たった、18世紀初頭。
ヴィヴァルディの指揮で、少女たちの楽団が初めて『四季』を演奏する場面、素晴らしかった。文字を読むことで体感する音楽だった。…続きを読む

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7位
ミッドナイト・ライブラリー (邦訳版:The Midnight Library)
書籍:ミッドナイト・ライブラリー (邦訳版:The Midnight Library)
(マットヘイグ、浅倉卓弥/ハーパーコリンズ・ジャパン)
レビュアー:darklyさん 得票数:32
書評掲載日:2023-07-17 10:35:11
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/304845/review/293397/

ファンタジーであるが、その世界観や設定は副次的なものであり、作者の人生観や哲学を織り込んだ作品。

ノーラは自らの人生に終止符を打とうとしていた。愛猫は事故死し、仕事はクビになった。恋人とも仲間とも上手くいかず、将来の夢はことごとく実現せず、そして薬を飲んだ。気が付くとノーラは並木道にいて建物に辿り着く。そこは図書館だった。そこには高校時代の図書館司書のエルム夫人がいた。…続きを読む

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8位
一夜
書籍:一夜
(夏目漱石/青空文庫)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:31
書評掲載日:2023-07-20 11:15:33
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/208029/review/293497/

人生を書いたので小説を書いたのでないから仕方ない(夏目漱石)

八畳の間に男が二人と女が一人。
男の一人は髭があり、一人は髭がない。髭がある男は、詩を書く人らしい。髭がない男は、画を描く人らしい。女は、刺繡をする人らしい。…続きを読む

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8位
ハレルヤ
書籍:ハレルヤ
(保坂和志/新潮社)
レビュアー:三太郎さん 得票数:31
書評掲載日:2023-07-20 13:15:31
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269453/review/293473/

バブル期に作家デビューした著者の還暦を迎えての私小説集。

著者の保坂さんは1956年生まれで、この小説は2018年に上梓されたから、著者が還暦になった頃に書かれたということになる。著者の作品はデビュー作の「プレーンソング」を読んでいたが、中年の頃の作品はまだ読んでいない。この本は4篇の短編小説からなるが、はっきりと私小説のスタイルで書かれているのが、デビュー作とは異なる。でも文章のかたちはそのままのようだ。「。」を使わずに1ページ分の文章を「、」で繋いでいくという独特のスタイルだ。…続きを読む

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8位
震える天秤
書籍:震える天秤
(染井為人/KADOKAWA)
レビュアー:千世さん 得票数:31
書評掲載日:2023-07-09 11:51:24
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/314512/review/293099/

「高齢者の運転問題」の取材のため、コンビニに軽トラが突っ込む事故のあった福井県を訪れたジャーナリストの俊藤律。良心に導かれ事故の真相に迫る彼の存在が、閉鎖的な田舎の村と私たち運転者の良心に迫ります。

福井県のコンビニに、突如突っ込んだ軽トラ。運転していたのは86歳の老人。店にいた若い店長がその車に轢き殺されました。フリージャーナリストの俊藤律(しゅんどう りつ)は、隔週誌ホリディの編集長に頼まれ、「高齢者の運転問題」についてルポをまとめるため、東京から原付バイクで福井を訪れます。…続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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